山﨑 夢叶さんインタビュー
2019年にソナタコンクールに参加し、マスタークラスを受講され本選で金賞を受賞した山﨑夢叶さん。 その後、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学へ進学し、 2026年度ピティナ・ピアノコンペティション特級にて銀賞を受賞されるなど、さまざまな舞台で活躍されています。 ソナタコンクール参加当時の思い出から、この夏のコンクール、そしてこれから取り組みたい音楽についてお話を伺いました。
翌年、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校の受験に向けて、ソナタコンクールの全楽章コース(現:アカデミー部門)を受けることにしました。
受験課題曲の中から、ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第11番 変ロ長調 Op.22を選曲しました。
基調講演では、斎藤雅広先生が「ピアニストとして生きる」ということについて、ご自身のピアニストとしてのさまざまな経験をお話ししてくださいました。特に「『崖の上のポニョ』を弾いてくれと言われた」というお話が印象的で、今でも覚えています。
上田泰史先生、林川崇先生の座学は、和声や理論的な内容で、当時は理解するのが大変でしたが、ソナタを理解するうえで大切なことを教えていただきました。
レッスンでは佐藤卓史先生に課題曲の第4楽章をレッスンしていただきました。11番は初期の最後のほうのソナタですが、シンプルであるがゆえに、どう歌ったらいいのかというところに苦労しました。いつも習っている先生とは違う先生にレッスンしてもらうことは新しい発見もあり、刺激を受けました。
また、他の参加者の方が1楽章のレッスンをされているのを聴講することもできて、勉強になりました。
他の先生方のレッスンも見学しましたが、どの先生のレッスンもとても面白かったのを覚えています。
また、当時は自分が最年少だったかなと思うのですが、他の受講生の方と、このマスタークラスで知り合いになり、その後、大学や他のコンクールで再会するというコミュニティができたことも、うれしい経験でした。
東音ホールで本選を受験しましたが、このくらいの空間が好きで、弾きやすいなと思いました。
ソナタ全曲通しての構成を考えて曲を作っていくので(入試の時は第3楽章を楽しみにしていましたが、まるまるカットされてしまいました)、それぞれの楽章の特徴と、全楽章を通しての一貫した雰囲気づくりというのを意識していたと思います。
第3・第4楽章は流れがよくて、ベートーヴェンっぽくないところが特に好きでした。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校に進学しました。ソナタコンクールのマスタークラスの雰囲気が、プレ入学のようなものかなと思って楽しみにしていたのですが、コロナの影響で、そのような時間が少なかったのが残念でした。
実技に本腰を入れてコンクールを受けるようになったのは大学に進学した後で、大学2年からピティナ・ピアノコンペティションの特級にチャレンジしました。
今年はピティナと東京音楽コンクールを並行して受験しましたが、特級のセミファイナル、ファイナル、東京音楽コンクールの本選と場数を踏んでいくにつれて、テンションがどんどん上がっていくのを感じました。
親指は筋肉痛で痛かったですが、普段にない疲労の中で、いつもにはない何かが本番で湧いてくる感じでした。ピティナのプログラムで一番満足がいったのは、二次予選のプロコフィエフのソナタでした。
一次予選では、今まで弾いたベートーヴェンのソナタの中で自分が一番イメージしやすい曲ということで、第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」を選曲しました。
セミファイナルで選曲したイギリス組曲 第6番は、全然弾かれることがない曲なので、自分も第5番までしか知らなかったのですが、「第6番もあるよ」という話になって、シフの演奏を聴いて選曲しました。
プログラムはバッハで締めようとしていたのですが、室内楽がベートーヴェンだったので、バッハはその後に入れることにしました。室内楽を演奏して会場の雰囲気をつかめたので、テンペストは気持ちよく弾けました。
ファイナルで選曲した協奏曲(ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37)も以前に演奏したことがあって、オーケストラと合わせることが楽しい曲という意味で選曲しました。
ピティナ特級ファイナルでの楽しいテンションのまま東京音楽コンクールの本選に挑むことができ、さらにうまくいったという感覚がありました。ベートーヴェンのコンチェルトを1週間で2回演奏できたのは、すごい経験だったなと思います。
一番好きな作曲家はバッハです。バッハが嫌いになったことはありません。
佐々木恵子先生に調や構成などを教わりながらバッハを学んできたので、いつもバッハを弾くのが楽しくて、コンクールや入試の時も楽しく演奏してきました。
大学に入ってからは、気が付けばロシア物や、有森博先生のおすすめの曲を演奏するようになって、いろんなジャンルの曲に取り組むようになりました。
室内楽も組ませていただいたり、2台ピアノを組ませていただいたりして、楽しく勉強しています。
デュオも好きですが、室内楽のほうが好きです。今後は室内楽や2台ピアノをずっとやっていきたいと思っています。
一人で黙々と演奏するのは勉強になりますし好きですが、演奏会はいろんな人数でやるのが楽しいなと思います。特に協奏曲は楽しいです。
いろんな楽器と対話ができるので、機会をいただいている本番を生かして学んでいこうと思っています。
ベートーヴェンのコンチェルトを全曲コンサートしている方など素晴らしいピアニストは世界中にたくさんいて、近づけば近づくほど遠く感じることがありますが、自分が音楽に飽きたら終わりだと思っています。
好きなピアニストの演奏をたくさん聴いて、そこから自分がいいなと思ったところを取り入れて、作ってみたりしています。
ピティナの特級は新曲があったので、参考になる音源がない状態で、自分の中の知識だけで曲を作っていかないといけないのが難しかったです。
演奏者によって全然違う演奏になっていたので、自分のスタイルが聴衆に受け入れられるか、受け入れられないかというのが難しいところでした。
それに比べてベートーヴェンやバッハは、その時代の風景や、「最近みんなこう弾いているよね」というイメージがつけやすく、完成させてからもう一度考え直すというのもいいですし、いろいろ考えながら作っています。
今、音楽史を勉強していますが、パガニーニがデビューしてから、音楽はどんどん聴衆向けになっています。自分はどちらかというと、一人で淡々と作っていくスタイルなのですが、たくさんの演奏会を経験していく中で、時代が望んでいる方向と自分の考えとを、どちらも知ったうえで、どちらにも適応できるようにしていくのがいいなと思っています。
YUTO YAMAZAKI PIANO RECITAL
日時:2026年11月14日(土)13:30~
会場:代官山教会
特級ガラコンサート
日時:2027年3月7日(日)14:00開演(予定)
会場:J:COM浦安音楽ホール
出演:2026特級入賞者
お忙しい中インタビューをありがとうございました!
引き続き応援しております!


